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腸内細菌は、短鎖脂肪酸などの物質を肝臓へ供給し、肝臓は胆汁酸を合成して腸管に送り届ける働きをもつなど、腸と肝臓は消化器同士で密接な関係（腸－肝軸）をもっています¹⁾。
アルコール性脂肪肝は、日常的な多量飲酒に起因する肝疾患ですが、腸内細菌がその重症度に影響する可能性が指摘されています²⁾³⁾。

そこで、私たちは、アルコール性脂肪肝モデルマウスに対してグアーガム分解物を給餌したところ、顕著な肝脂肪蓄積の抑制効果が示されました（図（a））⁴⁾。
その際に、腸内細菌叢はビフィズス菌属の増加が特徴的な状態へと変化し（図（b））、短鎖脂肪酸の一種である酢酸が腸内で有意に増加していました（図（c））。酢酸は脂質代謝の改善効果が報告されていることから⁵⁾、グアーガム分解物は酢酸産生の豊富な腸内環境をもたらしたことで、肝臓における脂肪の蓄積の抑制を引き起こしたとする機序が想定されます。

アルコール性脂肪肝はほとんどの症例で自覚症状を伴わない疾患であることから⁶⁾、その予防が極めて重要であり、腸内環境の改善を介して副次的に肝疾患の予防にも貢献できるのであれば、健康寿命延伸における寄与も大きいのではないかと期待しています。

参考文献

1) Albillos A, De Gottardi A, Rescigno M.:J Hepatol,72,558–77(2020).
2) Llopis M, Cassard AM, Wrzosek L, et al.:Gut,65,830–9(2016).
3) Zhong X, Cui P, Jiang J, et al.:Front Cell Infect Microbiol,11,649060(2021).
4) Morishima S, Abe A, Okamoto S, et al.:J Gastroenterol Hepatol,39,2700–8(2024).
5) Hernández MAG, Canfora EE, Jocken JWE, et al.: Nutrients,11,1943(2019).
6) Torruellas C, French SW, Medici V.:World J Gastroenterol,20,11684–99(2014).