【学術Topic】グアーガム分解物は豚の腸内環境を改善し生産性を向上
グアーガム分解物が豚の腸内環境を改善し生産性を向上させることを確認しました。学術誌「Pathogens」の Special Issue “Modulation of Gut Microbiota & Microbiome in Pigs”に発表されています。
研究方法
⼀般農場の 594 頭の仔豚を 2 つのグループに分け、離乳から出荷までの約半年間、コントロール群には通常の飼料を与え、PHGG 群には グアーガム分解物を 0.06%含む飼料を与えました。試験開始から 1 ヶ月後と3 ヶ月後に各群 20 頭ずつから糞便を採取し、腸内細菌叢および腸内細菌の代謝産物である短鎖脂肪酸を調べました。また、出荷するまでの死亡率と出荷日数※1 を比較しました。
※1 出荷日数
⼀般的に肉豚の場合は決められた出荷体重に到達した時点で出荷されるため、体重増加が速い個体ほど出荷日数が短くなり、生産にかかるコストが抑えられる。
主な研究結果
グアーガム分解物の摂取により、肉豚の成⻑促進への関与が示唆される Prevotella 属菌や Lactobacillus 属菌などの腸内細菌が増え、有害菌と考えられている Streptococcus 属菌などが減少しました。また、グアーガム分解物の摂取により、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸が有意に増加しました。
さらに、離乳から出荷までの死亡・淘汰率がほぼ半減(コントロール群の 10.3%に対し、PHGG 群では5.3%)し、出荷日数が約 11 日も短縮(コントロール群の 169.6 日に対し、PHGG 群では 158.6 日)するなど、顕著な生産性向上作用もみられました。
発表雑誌
雑誌名︓「Pathogens」Special Issue“Modulation of Gut Microbiota &Microbiome in Pigs"
論⽂名:Effects of partially hydrolyzed guar gum supplementation on the fecal microbiotas of piglets
著者:Ryo Inoue, Hikari Otabi, Taiga Yamashita, Naoya Takizawa, Toshinobu Kido, Akira Sugiyama, Makoto Ozeki, Aya Abe, Takamitsu Tsukahara
掲載日:2021 年 11 月 1 日