【学術Topic】グアーガム分解物は糖尿病モデルマウスのサルコペニア肥満を抑制する
グアーガム分解物が糖尿病モデルマウスのサルコペニア肥満を改善することを示す研究データをご紹介します。
研究方法
8 週齢の糖尿病モデルマウスに通常食(ND)、食物繊維除去食(FFD)、5%グアーガム分解物混入食(PHGG)を 8 週間投与し、サルコペニア・肥満に対する作用を組織学・細胞生物学的に評価しました。
飼料の給仕は摂取カロリーが群間で同等となるようにペアフィーディングを実施しました。
主な研究結果
ND および FFD 群では過食及び運動不⾜により有意なサルコペニア肥満が観測された一方で、PHGG群では耐糖能障害の改善※1、基礎代謝低下の改善、握⼒低下・筋⾁減少の改善、内臓脂肪量の減少、脂肪肝・脂質代謝改善作用が確認されました。また、PHGG がサルコペニア及び肥満に有効であった機序として、便、⾎液中の短鎖脂肪酸の増加、筋⾁中の分岐鎖アミノ酸※2 の上昇、飽和脂肪酸※3 の排泄の増加、骨格筋の筋萎縮関連遺伝子の発現低下および小腸の炎症関連遺伝子の発現低下、小腸粘膜固有層※4 における炎症細胞の減少が明らかとなりました。
※1 耐糖能異常
⾎糖値が正常より高い状態にあること。
※2 分岐鎖アミノ酸
枝分かれのある分子構造を持つ必須アミノ酸で、バリン、ロイシン、イソロイシンなどが含まれる。筋タンパク中に多く含まれ、運動や筋⾁の合成に関わる。
※3 飽和脂肪酸
炭素間に二重結合を持たない脂肪酸で、乳製品、⾁などの動物性脂肪やパーム油などの植物油脂に多く含まれる。飽和脂肪酸を摂りすぎると、⾎中コレステロールが増加し、⼼筋梗塞をはじめとする循環器疾患のリスクが増加する。
※4 小腸粘膜固有層
小腸粘膜の表面を覆う粘膜上皮の下に広がる結合組織の層で、免疫細胞が多く存在する。
発表学会
第19回日本機能性食品医用学会総会
2021年12月12日(日) シンポジウム5 サルコペニア・フレイルと機能性食品
発表演題:「グアーガム分解物のサルコペニア肥満抑制効果への期待」
濱口 真英1、岡村 拓郎1、水島 かつら2、安部 綾3、小関 誠3、内藤 裕二2、福井 道明1
(1京都府立医科大学 内分泌・代謝内科学、2京都府立医科大学 生体免疫栄養学講座、3太陽化学株式会社ニュートリション事業部)