【学術Topic】グアーガム分解物のメンタルヘルスへの有効性(睡眠の質を改善、やる気を維持 )
グアーガム分解物のメンタルヘルスへの有効性を確認し、学術誌「Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition」に発表しました。
✓ グアーガム分解物の腸内環境およびメンタルヘルスへの効果をヒトで検証
✓ グアーガム分解物は腸内環境を良好に保ち、“睡眠の質を改善する”ことを発⾒
✓ “仕事や勉強に対するやる気の維持”にもグアーガム分解物が関与することを発⾒
✓ グアーガム分解物 3 g/日の摂取でも腸内細菌叢に影響することが明らかに
研究方法
60 名の健常者をプラセボ群(PHGG 非摂取群)、グアーガム分解物 3 g/日摂取群(PHGG 3 g/日摂取群)、グアーガム分解物 5 g/日摂取群(PHGG 5 g/日摂取群)の 3 群に分け、ランダム化二重盲検プラセボ対照並⾏群間試験を実施しました。
被験者にはプラセボもしくは グアーガム分解物を毎日、8 週間継続摂取させ、腸内細菌叢、排便状況、便成分、⾝体検査、メンタルヘルス(睡眠や意欲など)に与える影響を検証しました。
主な研究結果
腸内細菌叢について、プラセボ群と⽐較して、3 g/日摂取群および5 g/日摂取群では短鎖脂肪酸※1 産生に寄与する菌が増加し、ムチン※2 分解および炎症への関与が示唆される菌の増殖が抑制されるなど、腸内細菌叢に良い変化が認められました。また、5 g/日摂取群ではプラセボ群に⽐べて排便頻度が増加し、排便のスッキリ感が改善するなど、便通改善作用が確認されました。メンタルヘルスに関しては、試験期間中は新型コロナウイルス感染症が急拡大している時期であり、ストレスを感じやすい状況であったためか、摂取 4 週後に全群でスコアが低下しました。摂取 8 週後には全群でスコアが回復しましたが、プラセボ群よりも 3 g/日摂取群および5 g/日摂取群においてスコアがより改善する傾向にあり、5 g/日摂取群では「目覚めのすっきり感」、「起床時の疲労感」、「仕事や勉強に対するやる気」のスコアがプラセボ群に⽐べて有意に改善しました。
※1 短鎖脂肪酸
食物繊維やオリゴ糖などを腸内細菌が発酵してつくる酢酸・プロピオン酸・酪酸などの有機酸。消化管のエネルギー源となり、バリア機能を強化し、消化管の運動を調節するなど、腸内環境の維持に重要な役割を果たす。また、全⾝のエネルギーとして使われたり、免疫を調節したりとさまざまな機能を有する。
※2 ムチン
腸管上皮を覆う粘性のある物質で物理的なバリアとして機能する。腸管上皮は、栄養成分の消化吸収を⾏うと同時に、ムチンや抗菌ペプチドなどのバリア機能によって腸内細菌や有害な物質の侵入を防ぎ、腸管の恒常性を保っている。ムチンはバリアとして機能する一⽅、一部の腸内細菌の栄養分や棲息環境としても利用される。ムチンを栄養源とするムチン分解菌の過剰な増加は、バリア機能を低下させ、炎症性物質の体内への侵入を許し、結果的に全⾝性の微小な炎症を引き起こすことがある。
発表雑誌
雑誌名︓「Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition」
論⽂名︓Partially hydrolyzed guar gum is associated with improvement in gut health, sleep, and motivation among healthy subjects.
著者︓Aya Abe, So Morishima, Mahendra P. Kapoor, Ryo Inoue, Takamitsu Tsukahara, Yuji Naito, Makoto Ozeki